2019.03.22-23
TWO
【TWO】八坂神社の祭神である牛頭天王と、スサノオノミコトの影が離れては重なるシンメトリーな動きを取り入れたNYOTAIMORIショー。
牛頭天王の妃、頗梨采女が白百合と和菓子を盛り付けていく。京都・祇園のカルチャーハブスペースY gionにて開催された。
[Photo by Mitsuru Wakabayashi]
TWO Exhibition
目の前に女性が横たわる。肌を露出している。
なるほど、”露出”というのならば、元は衣服を着ていたということになる。
では、彼女に衣服を着せたのは誰なのか?
神か?
あなたか?
彼女が着ていたのは衣服ではなく、人間社会だ。
社会的規範(Social norms)は私たちの上に常に横たわり、
目や耳や口を気づかれない内にゆっくりと塞ぐ。
それらは本当は、時代のほのかな蜃気楼に過ぎないというのに。
この日本社会では性をタブー視しつつも離れられない病的な空気がある。
女体盛りはその屈折した空気を、
歪んだ形で表象したファンタジーだったのではないだろうか?
私たちはあえてそのタブーに正面から向き合い、
女体盛りを再提案してみることにした。
人々が口にすることを憚るような滑稽な人間の欲望をあぶり出し、
バラバラにして再パッケージすることで、
認識や価値観の境界線を見つめてみたいと思う。
社会という強固なフィクションの中で、
境界線上に位置するものはいつも曖昧で魅力的だ。
その存在は意識に揺らぎをもたらし、私たち自身の脆さを映し出す。
私はその揺らぎを常に感じていたい。
どうせ全てがフィクションならば、曖昧で強く美しいファンタジーを見ていたい。
それが私にとって唯一の確かな原動力だ。
NYOTAIMORI TOKYO Director
Myu